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不動産の二重譲渡 ‐ 民法177条

2013.11.26 (Tue)

Aは,唯一の財産である自己所有の甲土地を3000万円でBに売却し,内金として500万円を受領したが,所有権移転登記が未了の間に,Bへの売却を知ったCから,甲土地を3500万で買うと言われて,その気になり,甲土地をCに売却して引渡し登記を移転した。
〔1〕Bは,Aに対して,いかなる請求ができるか。
〔2〕Bは,Cに対して,甲土地の所有権者であることを対抗できるか。



〔1〕Bは,Aに対していかなる請求ができるか。
Aは,Bに対して,いかなる義務を負うだろうか。これを確認しておく。売買契約の効果として,売主は,買主に対して,売買の目的物たる「財産権を移転」し,かつ,「完全な享受に必要な一切の行為」をしなければならない義務を負う。本問でも,Aは,Bに対して,甲土地の所有権を移転し,かつ,登記及び占有移転の義務を負う。

そこで,Bは,Aに対して上記の債務の履行の請求,つまり甲土地を引き渡して所有権移転登記をせよと請求できるはずである。

ところが,本問では,Aは,Cに甲土地を引き渡し登記をも移転しているので,AのBに対する甲土地引渡債務は,社会通念上,履行不能になったといえる。

その結果,Bは,Aに対して,履行不能による責任を追及しうることになる(民法415条)。
その責任追及の内容を具体的に言うと,填補賠償(本来の給付である甲土地の給付に代わる損害賠償)を求めてもよいし,売買契約を解除して(民法543条)内金として支払った500万円の返還を請求し,さらに損害があれば損害賠償を求めてよい(民法545条),ということになる。



〔2〕Bは,Cに対して甲土地の所有権者であることを対抗できるか。
本問では,Aが甲土地をBとCとに二重譲渡し,Cが登記を備えている。この場合,民法177条の規律の場面となる。

民法177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は,不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ,第三者に対抗することができない。



民法177条にいう,
「物権の得喪及び変更」(登記を要する物権変動)の意味 → 無制限説(大判明治41年12月15日)
「第三者」の範囲は → 制限説(大判明治41年12月15日)
 
判例・通説によれば,所有権の移転時期につき当事者が特段の意思表示をしない限り,契約成立時に所有権が移転する。本問では、所有権移転時期につき特段の意思表示はないから,甲土地の売買時にその所有権が移転する(物権行為の独自性も否定)。

AB間・AC間の売買は民法177条の「物権の得喪」に当たり,また,二重譲渡を受けたCが「第三者」に当たることに異論はない(Cは悪意であるが,第三者の主観的要件として善意は要求されない-悪意者包含説)。

そこで,Bは,所有権移転登記を備えたCに対して甲土地の所有権者であることを対抗できない。
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